舞え!オーストリアの蝶

オ−ストリアの女帝マリア・テレジアは、末娘の皇女マリ−・アントワネットをフランス・ブルボン家へと、嫁がせる前に娘の移り気で底抜けで遊び好き、考えの浅いところがある性格を心配していた。
そして、マリア•テレジア注意書きを綴った手紙を手渡した。



「花嫁引き渡しの儀」の場所として、ライン川中立地帯で執り行われた。
皇女マリ−・アントワネットは、オーストリア製のドレスから、フランス製ドレスに着替えなければならなかった。
驚く、マリ−・アントワネットにフランス側の女官は言う。

「オーストリア製の物は、全て1本の糸すら、身に付けて行く事は、許されないのです」

女官からの説明を聞いて、マリ−・アントワネットは、寂しさを隠す事が出来ないでいた。

「帰ります!、もう、お嫁に行くのは止めました!」

そして、フランスへと輿入れして来たマリ−・アントワネットの警備をするオスカル隊長率いるフランス近衛連隊たちも彼女の我が儘ぶりに振り回されていた。

そんな、マリ−・アントワネットの我が儘に付け込んだのが、国王ルイ15世の弟オルレアン公爵だった。
オルレアン公は、偽マリ−・アントワネットを仕立てて、婚礼を壊そうと画策していた。

「むふふっ…、ルイ15世も王太子もヨーロッパ中の笑い者になって、失脚すれば、次の王位は、きっと、このオルレアンが…」

偽者のマリ−・アントワネットは、細身のジャンという男だった。

オルレアン公は、巧みな言葉でマリ−・アントワネットとジャンの互いの衣装を着替えさせた。

そして、小間使いの衣装に身を隠して変装したマリ−・アントワネットに誰も気付かないでいた。
しかし、オスカルだけは、偽者のマリーアントワネットに変装したジャンの姿を見て、疑念を抱いた。

「小間使いの1人が男のような気がしたんだが…」

オスカルは、小間使いに変装した本物のマリ−・アントワネットが連れ去られようとしている所に遭遇して、無事に救出する。

しかし、オスカルかジャンを捕まえようとした時、オルレアン公がジャンを撃ち殺してしまう。

騒動の後に国王ルイ15世の紹介を経て、マリ−・アントワネットは、夫となる王太子と初めて対面した。

《こんなものなの…? 夫になる人からの初めてのキスを受けても、何の胸のときめきもない…》



マリ−・アントワネットは、失望の色を隠せないまま、フランスへと嫁いで行く…。

オスカル率いる近衛隊が、マリーアントワネットの輿入れ馬車を護衛しながら、ベルサイユ宮殿へと進んで行く。

「フェルゼン様、マリーアントワネット様の御輿入れの行列でございます」

その輿入れの光景を留学中の青年貴族ハンス•アクセル•フォン•フェルゼンが馬上から見つめていた。



オスカル、アントワネット、そして、フェルゼン。
三人が運命的な巡り合いをする日は近い。

やがて起こるフランス革命の中、オスカル、アントワネット、フェルゼンの三人が、複雑に織り成す運命に向かって…。

そして、退廃と陰謀が渦巻くベルサイユ宮殿に向かって、行列は静かに厳かに進んで行く…。




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