オスカルとアンドレとロザリーの3人は、休暇をとって別荘で過ごし、海辺で乗馬をしていた。 そこへ、先頭を走るオスカルの前に黒いドレス姿の女が現れた。 そして、オスカルは馬を止めた。 その女を見たロザリ−は、ジャンヌと分かって驚愕する。 ジャンヌは、馬上のオスカルに向かって、優雅に身を屈めて頭を下げた。 「オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ大佐様。 御休暇中と言う事で、ぶしつけながら遥々、ヴェルサイユより、お訪ねに致しました。 ジャンヌ・バロアと申す者でございます」 「確か前に一度、今は亡きブレ−ン・ヴィリエ公爵夫人の葬儀の時、お見受けした事がある」 「さようでございましたか。それは光栄にございます」 「わざわざ、ヴェルサイユからとか。このオスカルにどの様な御用ですか?」 「ご挨拶に参りました。実は、私の夫ニコラスが一ヶ月より、近衛連隊でお世話になっております。 どうか今後共、おみおしりおき下さいますよう」 挨拶を終え、去り行くジャンヌにオスカルは問いた。 「それだけの為にわざわざ、ヴェルサイユから?」 「いいえ、そんな失礼な真似は致しませんわ」 ジャンヌは、立ち去りながら、オスカルに答えた。 すると、2個の樽を付けたポニ−をオスカルの方に歩かせて、差し向けた。 ジャンヌは振り向き、オスカルに言う。 「どうか、御納め下さいますよう…」 ポニ−が、オスカルの前で立ち止まる。 大量の金貨の入った樽を見て、オスカルは問く。 「一体、これは、どういう意味だ!?」 「意味?オホホ…、意味などありませんわ。単なる常識ですけど」 オスカルが鞭を揚げてポニ−を叩くと、ポニ−は金貨を振り零し、ジャンヌを倒しながら疾走して行った。 「これが、私の常識だ!覚えておいて貰おう!」 ジャンヌは、薄笑いを浮かべてオスカルに吐き捨てるように言う。 「お上品ですこと。貴方みたいな人は、良くいるけど、あたしが1番魅力を感じない種類の人だわ…」 ジャンヌは、高笑いしながら去って行った。 その後、ジャンヌは、ローアン大司教が王妃マリ−・アントワネットに好意を持っている事を知って陰謀を企てる。 「王妃様とは、親しい間柄…」 宮廷に出入り出来ないいジャンヌは、マリ−・アントワネットと面識などない。 しかし、平然と嘘を付いて、ローアンを信用させては、口実を作って次々と金貨を要求して行く。 また、マリ−・アントワネット自身がローアンが大嫌いであった。 理由は、僧侶の身でありながら、オーストリア駐在大使時代から、女遊びをして散財して、母マリア・テレジアにも毛嫌いされていた影響を受けていた事からであった。 そんな嫌われている事など知らないローアンは、マリ−・アントワネットの美しさと気高さに恋焦がれていた。 そして、『王妃と親しい…』と吹聴しているジャンヌに仲介役になって貰って『行く行くは、王妃と親しくさせて欲しい』と懇願した。 ジャンヌは、仲介役の代償として金貨の報酬を得ていく。 そして、ジャンヌは、王妃マリ−・アントワネットからと言って、ローアンに手紙を渡していた。 その手紙は、偽造した物で偽司法書士のレトーに書かせていた。 ローアンは、騙されているとも知らずに暫くの間、王妃と2人だけの秘密の手紙のやり取りに満足していた。 しかし、宮廷でマリ−・アントワネットと目が合うだけで、王妃の態度が明らかに豹変する事に疑念を持ち、ジャンヌに問いた。 ジャンヌは、ロ−アンを信用させる為にパリ下町の売春婦の部屋を訪ねた。 「一晩でたったの10スー、先払いが決まりです」 彼女の容姿は、王妃マリ−・アントワネットにそっくりの盲目の売春婦ニコル・ド・オリバであった。 「わたくしの気持ちは、お分かわかりですね…」 「そうそう、それだけの仕事であんたの10年分の稼ぎより、もっと沢山のお金が手に入るんだからね」 後日、ジャンヌは、月夜の照らすベルサイユ庭園のヴィーナスの茂みで、偽の王妃マリ−・アントワネットに変装させたニコル・ド・オリバとローアンを会わせて、信用させる。 「わたくしの気持ちは、おわかりですね」 月明かりの照らす王妃に成り済ましたニコル・ド・オリバから一輪の薔薇を受け取ったローアンは、感激する。 そして、完全にジャンヌの事を信用してしまう。 その時、見張りをしていたニコラスが人影の気配を察して、ジャンヌに報告する。 ニコラスは、ニコル・ド・オリバを背負って、池の中に飛び込んで対岸へと逃げて行った。 庭園を巡回していたオスカルは、不信な物音を聞いて、池の方へ向かって歩いて行く…。 「こんな時間に何を…?」 「ただの空しい散歩ですわ…」 ジャンヌは、オスカルと目線を合わせる事なく、擦れ違いざまに答えて立ち去って行った…。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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