絹のドレスとボロ服

1773年
マリー•アントワネットが結婚してから3年の月日が流れた。
そして、『1度、パリを訪問したい』というマリ−・アントワネットの希望が叶う事になった。

パリでは、王太子夫妻の歓迎に沸き、下見に訪れたオスカルとアンドレ、近衛連隊員のジェローデルらは、民衆の貧しさに心を痛めた。

そんな世情の中、18才の王太子と17才の王太子妃が初めて、首都パリを正式訪問した。
パリでは、王太子夫妻の訪問に20万人の民衆が出迎えて、歓迎の嵐に湧き返っていた。

一方、歓迎する群衆の熱狂から離れた裏町のタンプル街やブランビリエ街などの下町では、長く続く悪政に市民は苦しんでいた。

その貧しい下町で過ごす暗い目をした娘のジャンヌがいた。
その彼女の瞳には、どす黒い野心の炎が燃え上がっていた。



ジャンヌは、自称『バロア家の末裔』と言って、ブーレンビリエ公爵夫人に取り入って、病気の母と妹ロザリーを見捨てて、家を出て行った。

そして、一方、ドイツで造兵学を学んでイタリアで医学を学び、スイスで哲学を修めたスウェーデンの青年貴公子ハンス・アクセル・フォン・フェルゼンは、今パリの社交界で最後の磨きを架ける為にフランスへとやって来た。

マリ−・アントワネット、オスカル、フェルゼン、3人の運命的な出会いは間近であった…。



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