ベルサイユに火花散る

14歳のマリ−・アントワネットがフランス王太子妃として、ブルボン家に輿入れしに来てベルサイユ宮殿内の大礼拝堂で荘厳な結婚式が執り行われた事で彼女はベルサイユの華となった。

そして、マリ−・アントワネット就きのノアイユ夫人は進言する。

「ベルサイユでは、公式の場では身分の低い者は、身分の高い夫人に自分から声を掛ける事は絶対に許されておりません。
王妃様がお亡くなりの今は王太子妃である、アントワネット様が宮廷で1番地位の高いご夫人でございます。
みんな、貴女様から、お声を掛けて頂くのを待っているのです」

宮廷中の誰もが若くて美しいマリ−・アントワネットに見とれて、うっとりしている。
しかし、貴婦人たちの熱い眼差しの中でアントワネットは、突き刺すような冷たい女の視線を感じた…。

その女は、国王ルイ15世の愛妾デュ・バリー伯爵夫人で宮廷内で絶大なる権力を振るっていた。

そして、鏡の間でアントワネットが最初に声を掛けたのはオスカルだった。

「オスカル!ご機嫌いかが?」

アントワネットが自らデュ・バリー夫人に声を掛ける事などない。

アントワネットに目の前を素通りされて、屈辱感に陥ったデュ・バリー夫人は呆然としたままだった。

「私はあんな赤毛のチビは嫌いだわ!」

やがて、宮廷内で2人の女同士の対立は激しさを増して行く…



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