ロザリ−は、オスカルから歴史、文学、作法の教育を受けて、すっかり貴婦人らしくなっていた。 オスカルは、美しく成長したロザリ−を見つめて、フッとした時の品の良さから、まるで生まれた時からの貴婦人のようだと思っていた。 そんなロザリーは、「あの…、マルティ−ヌ・ガブリエルという貴族をご存知ないですか…?」と、オスカルに尋ねた。 「で、姓はなんと言う?」 「分からりません…。でも、私を産んだ本当のお母様なんです! 母さんが死ぬ時に私に言い残して、オマエは、貴族の娘だって」 「それは、本当か!? 何故、今まで黙っていた」 「信じられなかったからです。 私が貴族の娘だなんて…、でも、その人が生きてるなら会いたい…。 一目でいいから、会いたいと思って…」 「そうだったのか、ロザリ−。 分かった、全力を尽くしで調べてやろう。 貴族の娘と分かれば、堂々と宮廷に出られる。 実は、ロザリー、今度、王妃様が是非、オマエを見たいと仰せなのだ」 後日、オスカルは、ロザリ−をベルサイユ宮殿の舞踏会に連れて行く。 「アントワネット様。 先日、お話し致しました遠縁にあたる、ロザリー・ラ・モリエール嬢でございます」 オスカルは、ロザリ−の手をとって、王妃マリ−・アントワネットに紹介した。 「オスカルの親戚のロザリ−さんですね。 ごゆっくり、楽しんで行って下さいね」 「王妃様、私どもの事をお忘れではございませんか? さぁ、シャルロット、御挨拶なさい…」 ポリニャック夫人は、王妃に挨拶するように娘のシャルロットを促した。 その貴婦人を見て、ロザリ−は驚愕する。 《あの女だ!、母さんを馬車で引き殺して、笑いながら、逃げて行った人!》 ロザリーは、母を引き殺した憎き、ポリニャック夫人と再会した。 そして、満身の怒りと憎しみを隠し持っていた短剣に込めて、ポリニャック夫人の前に踏み出した。 すると、咄嗟にオスカルは、ロザリ−を身を拘束した。 「何故です!?、離して下さい」 「今、飛び出しに行って、どうする?犬時えしたいの?」 オスカルは、ロザリ−を宥めて、落ち着かせる。 またポリニャック夫人もロザリ−と再会して、動揺していた。 「アントワネット様。 あのロザリ−という娘は、貴族なんかではございませんわ!」 ポリニャック夫人の言葉に宮廷中の貴族が、ざわめき始めた。 「この子は、私がパリで…」 そう言い掛けた時、オスカルが止めに入る。 「お待ちなさい。ポリニャック夫人。 パリで、どうなさったというのだ?」 そう言いながら、オスカルは、ポリニャック夫人の前に歩み寄って、周囲に聞こえない様に、彼女の耳元で囁いた。 「パリで、彼女の罪のない母親を馬車の車輪に架けて、引き殺した。 此処で王后陛下の御前で、白状なさるおつもりか? 擦れば、これだけの大勢の貴族、貴婦人方の前での告白。 いかにポリニャック夫人と言えど、それ相応の御処分は免れまい。 覚えておかれるが良い。彼女は、貴女を探し出して、母の仇を取りたいと、ただそれだけの為に死ぬ覚悟で、此処まで来たのだ」 オスカルからの言葉に恐怖したポリニャック夫人は、激しく動揺する。 「アントワネット様、お騒がせして申し訳ありません。 私の思い違いでございました…」 ポリニャック夫人は、王妃に謝罪した。 しかし内心では、ただの近衛兵と思っていたオスカルは、自分にとって危険人物だと感じ始めて、策を練り始める…。 そしてオスカルは、仇討ちが出来ずに泣き崩れるロザリーに厳しくも、優しく包み込むように論した。 「仇を打てば、間違いなくロザリ−、お前も死刑になるぞ。 虚しくないか?例え、ポリニャック夫人を殺したところで、死んでしまったお前の母さんは、2度と帰って来ないんだ。 分かるか?ロザリ−。どうして、自分の人生をもっと大切しないんだ! 死ぬなロザリ−、お前は、もうジャルジェ家の一員なんだ。お前を死なせたくはない」 そして、、オスカルは、どんな事をしても、ロザリ−の産んだ母親を探し出す事を約束した。 ロザリ−の本当の母親は、誰なのか…? オスカル達は、誰よりも貴婦人について、1番詳しいノアイユ伯夫人を訪ねる為、アンドレと共にベルサイユ宮へと向かった。 宮廷内の階段を歩行中、アンドレが不審な巨大シャンデリアに気が付く。 それは、まるで的をオスカルに狙ったかのように頭上から、巨大なシャンデリアが降り落ちて来た。 アンドレの叫び声でオスカルは間一髪で難を逃れる事が出来た。 夜遅く、マリ−・アントワネットの使者と名乗る者がジャルジェ邸に来た。 オスカルは、アンドレとロザリーと共に馬車に乗って宮殿へと向かう。 しかし、オスカル達を待ち伏せていたのは、ポリニャック夫人の刺客達で三人は狙われる。 そして、オスカルがロザリーをかばって怪我した時、一瞬、フェルゼンの声が聞こえた…。 ギリシャの神が突如、空から舞い降りたようにフェルゼンが帰って来た…。 その翼が4年間の空白の中に置き去りにしていた、オスカルとマリ−・アントワネットの愛の炎を燃えたたせる…。 [編集] 無料ホームページ作成は@peps! |