アラスからパリへと戻って来たオスカルは呟いた。 「10日で、何年分かの事を見てしまったような気持ちだ…」 オスカルは、謹慎中にアラスを視察していた事を父ジャルジェ将軍に咎められた。 「貴族が何だ!公爵が何だ!」 アラスで見た民衆の貧しい生活と王室への不満と怒りを、自分の目で確認したオスカルの思いであった。 謹慎中で宮廷を留守にしていたオスカルとは別に、ポリニャック夫人が王妃マリ−・アントワネットの心を捕らえていた。 一方、やっとの思いで仕事がみつかり、喜んだロザリーに悲劇が訪れた。 病弱の母ニコルド・オリバ−が路上でポリニャック夫人の馬車に引かれてしまった。 「私は、お前の母ではない。お前の本当の母は、貴族のマルティーヌ・ガブリエル…」 慌てて駆け付けたロザリ−に言い残すと、オリバーは命を引き取った。 目の前で母を殺されたロザリ−は、馬車の中の物言わぬ貴婦人を睨み付けた。 「文句があったら、いつでもベルサイユへいらっしゃい!」 ポリニャック夫人は、ロザリ−に捨て台詞を残して去った。 《青い花模様のドレスとブロンドの巻き毛…》 ロザリ−は、ポリニャック夫人の容姿だけを手掛かりにして、ベルサイユ宮へと歩き続ける…。 その頃、王妃マリ−・アントワネット就きのオスカルの母ジャルジェ夫人は、連日、徹夜の舞踏会帰りの王妃待ちの過労で倒れた。 そして、心配したオスカルは、母を迎えに行き、連れ添ってジャルジェ家の屋敷に戻って来た。 そして、馬車から降りた所で襲撃された。 《青い花模様のドレスとブロンドの巻き毛…、あの人に間違いない!》 「母さんの仇!覚悟!」 茂みの中で隠れ待っていたロザリーは、意決して短刀を握り締めながら、ジャルジェ夫人に襲い掛かった。 しかし、武術を知らないロザリ−は、あっさりとオスカルに阻止される。 ロザリーは改めて、ジャルジェ夫人見て、ポリニャック夫人とは全くの別人だと気付いて、動揺する。 「あの女じゃない…」 オスカルとロザリーの再会でもあった。 そして、オスカルの情けによって、ロザリーはジャルジェ邸に引き取られて、剣の修行に励んでいく。 一方、マリ−・アントワネットに気に入られたポリニャック夫人は、王妃を利用し始める。 「王妃様…、実は…、宮廷に出て体面を保って行けるだけの充分なお金がありません…。 なので、宮廷への出入りを控えさせて下さいませ…」 ポリニャック夫人の巧みな言葉に騙されたマリ−・アントワネットは、ポリニャック夫人の家族全員をベルサイユ宮へと移住させる。 そして、大蔵大臣にポリニャック婦人用の予算を組ませて、宮殿内にポリニャック家専用の厩舎を作らせ、専用の馬と馬車を今までの5倍にした。 また、ポリニャック家の召使いには、国家から給料を払って、夫のポリニャック伯爵を郵政大臣に任命した。 「満月が雲に隠れるのは、どうしてかしら…?」 バルコニーのテラスに座って、夜空を見上げながらアントワネットが呟いた。 「王妃様、何処かで少女が泣いているからですよ」 ポリニャック夫人にすっかり夢中になっているアントワネットは、誘われるままに博打に熱中して、国民の税金を今で言う60億も使ってしまった。 また、ポリニャック夫人の娘シャルロットは、麗人オスカルの事が好きで慕っていたが、オスカルの家にいるロザリーへの嫉妬から敵視して、辛く当たっていた。 墓前のロザリーに声を掛けたのは、新聞記者のベルナール・シャトレだった。 「困った事があれば、いつでも相談にのろう」 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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