アラスの風よ応えて…

ド・ゲメネ公爵伯との決闘で1ヶ月の謹慎処分となったオスカル。
オスカルはアンドレを伴って、田舎町アラスにあるジャルジェ家領地の視察に出掛けた。

そのアラスの地で見た光景は、オスカルの予想もしなかった領民の厳しく、貧しい生活と王室への不満と怒りだった。

そして、オスカルは、酒場で法学生のロベス・ピエールと偶然に出会った。
ロベスピエールは、国王ルイ16世の戴冠式で祝辞を述べた事のある人物だった。

「戴冠式の日に国王に祝辞を述べた事を酷く後悔している」

ロベスピエールは、オスカルに貧困な民衆たちの世情話をした。

アラスの貧しい領民とロベスピエールとの出会いは、その後のオスカルの人生を大きく変えて行く出来事になった。



「領民の暮らしがこんなに…、知らなかった自分に腹が立つ!」

《オスカル…、お前という奴は一見、氷のように冷ややかな癖に胸の中は、炎のように燃え盛っている。
俺は…、そんなお前が好きだ…》

アンドレは、口には出せない思いを胸の中で呟いていた。

オスカルは、何か微かな物音を聞いたような気がしてアンドレに問いた。

「風の音だろう…?」

それは、本当に風の音だったのだろうか…?
貧しさの鎖に手足を縛られた民衆という名の巨人が、苦しみに耐え兼ねて、もらした吐息ではなかったのではなかろうか…。

やがて、オスカルが聞いた物音は、嵐のような革命に繋がる、微かな胎動になっていた…。

宮廷のマリ−・アントワネットは、宮廷内サロンの音楽会で美しい歌声を披露していたジュ−ル・ド・ポリニャック夫人に魅了されて、彼女の事を気に入る。

王妃マリ−・アントワネットの心を捕らえたポリニャック夫人は、以後、十数年に渡って、ベルサイユに君臨する。

そして、ポリニャック夫人の存在がマリ−・アントワネットを悲劇の女王に追い込んで行く、役割を果たしていく…。



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