民衆からの世継ぎの期待をよそに王太子妃マリ−・アントワネットは、毎夜、遊びに興じていた。 そして、パリのオペラ座の仮面舞踏会で出会った青年貴族フェルゼンとの恋に心震わせた。 すると二人の噂は、たちまち宮廷内に広まって、マリ−・アントワネット失脚を企み、謀略を巡らす人々の好餌となった。 1775年 国王ルイ15世が没すると、フランス大聖堂で新国王ルイ16世の戴冠式が華々しく行われた。 同時にマリ−・アントワネットはフランス王妃となった。 国民は、地味ではあるが新しい国王ルイ16世の治世に期待を寄せた。 一方、パリの下町に住む貧しいロザリ−は、仕事を探すも断られ続けていた。 途方に暮れている中、ロザリーは街中で家を出て行った姉のジャンヌの姿を見掛けた。 かつて、一緒に暮らしていたジャンヌの容姿とは違って、上品な風貌に変わっていた事にロザリ−は驚いた。 そして、容姿風貌の変わったジャンヌが入って行った屋敷の外窓から、本当に姉のジャンヌだと確信した。 「やっぱり、ジャンヌ姉さんだわ! でも、声は掛けられない…。 妹の私がこんな汚い格好で訪ねたら、きっと姉さん迷惑するわ…」 ロザリ−は、訪ねる事を躊躇して1度は家に戻る。 失業中であった為、思いきってジャンヌの元を訪れた。 「ジャンヌ…、本当にジャンヌだったのね!」 「ロザリ−!、懐かしいわ!、良く会いに来てくれたわね!」 「あたし…、追い帰されるかと思ってたのよ…。 母さんの具合が悪くて、それで少しで良いから、お金が…」 「そうだったの…、可哀相に…、遠慮なんかいらないのに…。さあ、中にお入りなさい」 ジャンヌは、ロザリ−を屋敷に入れると、自分の素性を知られたくない為に来客の貴婦人達に、「田舎で使っていた小間使いで、私を頼って来たのです」と、平然と、嘘をつき紹介した。 そして、ロザリーを裏部屋で待機させた。 しかし、ジャンヌは、ニコラスにロザリーを追い払うように命じていたのだった。 「ジャンヌにお前なんか、殺してもいいって、頼まれたんだからな!」 ロザリ−は、粗暴なニコラスに鞭打たれた。 「嘘よ!、ジャンヌがそんな事を言う訳がない!」 ロザリ−は、必死に屋敷から逃げ出した。 「ジャンヌが…、あたしを殺そうとした…!? 恐ろしいわ…、ジャンヌ…、もう人の心を失くし始めている…」 ロザリ−は、変わり果てたジャンヌに失望して、夜の街をさ迷い歩いていた。 その途中、酒に酔ったミラボ−伯爵と遭遇、ぶつかって怯えながら謝った。 「す、すみません…、貴族様…、お許しを…!」 「着ているボロ服に似合わず、大した玉だな。 娘、今夜一晩、わしの屋敷に来ぬか?金はたっぷりと弾むぞ…!」 「何をなさいます!」 ミラボ−伯爵に言い寄られて、身体を触られたロザリーは、恐怖心から、ミラボ−の顔を平手打ちをした。 その時、ミラボ−の従臣が彼を向かいに来て去って行った。 そして、ロザリ−の頭の中に伯爵の言葉が響き渡っていた。 《金は弾むぞ…》 『お金が貰えるなら…』 静寂の街中をロザリ−が泣き崩れていた時、徐々に馬車の近付いてくる音が響いて来た。 そして、ロザリ−は、意を決して通り過ぎる馬車を引き止めて、声を掛けた。 「旦那様!お願いします! あたしを一晩、買って下さい!!」 「あはははっ!こいつは傑作だ! おいおい、間違えるな。これでも、私は女だ! 例え、ただでも、お前を買う事は出来ん」 「そ、そんな…!!」 絶望感に陥って泣き崩れたロザリ−と、オスカルとの初めての出会いであった。 オスカルは、馬車から降りると、泣き崩れるロザリ−に歩み寄った。 「やれやれ、また随分と可愛らしい売春婦も居たものだな。娘、名は何と言う?」 「ロザリ−…」 「何故、こんなバカな真似をしたんだ?」 「母さんが病気なのに…、何処もあたしを雇ってくれる所がありません…、それで…」 「さあ、ロザリ−、少ないが、これをとっておけ。 もう、二度とこんな馬鹿げた事をするんじゃないぞ、いいな?」 オスカルは、泣き崩れるロザリ−に優しく述べると一枚の金貨を握らせた。 そして、馬車を走らせ去って行った。 「1リブ−ル金貨…!こんな大金を…! お名前を!馬車のお方!」 ロザリ−は、夜の闇に走り去って行った馬車を追い駆けて行った。 馬中のオスカルは、ロザリ−の身を売る行為をあからさまにして、漠然と民衆たちの貧しい生活ぶりに疑問を抱き始める。 華やかなベルサイユ宮では、人々の想いが交錯する中で、フランス王妃となったマリ−・アントワネットの贅沢はとどまるところを知らなかった。 また、オスカルが王妃の事を思い煩う中で、民衆の暮らしは貧窮を極めて行く…。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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