2月14日。 それは、女の子たちがチョコと共に想いを贈る日。 真心を込めて。想いを込めて。 普段は言えない想いを伝えよう。 そんな女の子にとって、大事な日の為にここでは準備が行われていた。 ―――緑野 麗殊の家。 「………ありえないわ」 どうすれば、こんな事になるのだろうか。 予想はしていたが…まさか、こんな事になるなんて。 そう頭を抱えていたのは、彌紗だった。 目に入るのは、ボウルから零れたチョコレートや生クリーム。 このくらいなら、よくある光景だと思う。 しかし、うねうねと動くイカのような生物、爆発した鍋はなんなのだろう。 この厨房は、もはや地獄絵図と化している。 「あれれっ?どこか間違えちゃったのかなぁ?」 「お、織香さんっ!どうやったらこんなことになるんですか!?」 コンロの方で騒いでいるのは、織香と澪羅。 どうやら湯煎をしていたようだが、そこでどうして爆発がおきるのか…ホントに分からない。 (まぁ…今は自分の事に集中しましょう。二人には後から、正しい作り方を教えるとして…) 彌紗は頭を切り換えて、早速自分のチョコレートの仕上げにかかった。 トリュフにホワイトチョコレート。それぞれ綺麗にラッピングしていく。 最後の一つ、他のものとは少し違う特別なチョコレートをラッピングしようとした、その時。 嫌な気配と悪い予感を、彌紗は感じた。 「瑠珈…その、うねうねしているモノは何かしら…?」 「えっと…私にもよくわかんないです…。って、麗殊お姉様!チョ、チョコ!チョコ割れてますよっ!?」 「え……、きゃあっ!やっと成功したのにどうして…!」 今度は流しの近くで、二人がきゃあきゃあ騒いでいる。 騒いでいるのは、家の厨房を貸してくれた麗殊と友人の瑠珈だった。 作り方を間違えたのか、材料を間違えたのか麗殊のチョコレートは割れてしまっている。 一方、瑠珈の作っていたモノは、もはやチョコレートですらなかった。 投げ付ければ相手にダメージを与えられそうである。 (何と言うか…ある意味、芸術ね…) はぁ、と一つ溜息が零れる。 どうして周りにいる人達は、一癖も二癖もある人ばかりなのだろうか。 だからこそ、自分が面倒を見なければいけないだろう。 「……あれ……美羽は何処かしら…」 辺りを見回すと、黒髪の少女が見当たらない。 先程、織香達が起こした爆発に一番反応しそうだというのに。 何処へ行ったのか、神出鬼没な彼女のことだから、彌紗は検討がつかずにいた。 (そのうち、ひょっこり出て来るでしょ) 彌紗は美羽が神出鬼没だからこそ、またひょっこり顔を出すだろうと考えると、自分の活動を再開した。 「よしっ。ラッピングも終わったし、後は数を確認して…」 これが終われば、自分の準備は全部終わる。 そうすれば、あっちの不器用さん達を手伝える…彌紗はそう思って、数え間違えの無いようにしっかり確認していると。 「…一つ…足りない…?」 予定していた数と何故か合わない。 もう一度確認してみるが、やはり一つ足りないのだ。 どうしたものか、彌紗は思い詰めた表情をしていた。そんな彌紗の横から、小さくガサッという音が聞こえた。 「美味しいわね、コレ」 そんな声が突然聞こえてきた。 聞き覚えのある声に振り返ると、そこには彌紗の作ったチョコレートを食べている美羽がいた。 「美羽!貴女、なに人の作ったチョコレート食べてるのよ!」 「私は作らないし、食べる専門だもの」 突然持論を引っ張り出してきた美羽に、彌紗は呆れ返った。 「それは別にいいけど、プレゼント用のは食べないでって、あれほど…」 「そんなことより、アレ危ないんじゃない?」 そう美羽が指差したと同時に、再び鍋が爆発したのだ。 「…………」 瞬時に、その場にいた全員が言葉を無くし、手を止めた。 ただ一人、不適に微笑んだままチョコレートを頬張る美羽を除いて。 結局、その日は夜まで片付けで大忙しだったとか何とか。 チョコレートを無事に作れたのか。 きちんと渡せたのかは、また別のお話……? 自分の文才の無さに泣きたい…orz とにかくギャグにしたかった。← ちなみに瑠珈さんの作っていたものは、シャロン・ド・トr(略 もっと皆を喋らせたかったのですが、長くなってしまいそうだったので…。 とりあえず、大変な役回りゴメンなさい彌紗; <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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